「同音の漢字による書きかえ」の研究
國語表記を混亂せしめる一つの要因「同音の漢字による書きかえ」について詳察する事は、國語改革を見直す物であると同時に、正しい語彙と語義を明白にする。
その「書きかえ」の方法論は、曾ては誤用とされた物が正しいとされたり、新たな組合せ(phrase)を作つたり、兩樣を統一したり、と樣々であり矛盾を抱へてゐる。
前者二つの是正は易いが、最後の混同を強いるが如きは特に注意を要するであらう。
實例は、凡その一覽であり、參考程度に用ゐて欲しい。そこには「醱酵;発酵」と「書きかえ」語は全て常用漢字で表記した例を擧げた。
この例において、「発」の舊字「發」を知らぬならば、「醱」を「発」とすることが符を合一するとの見當が附き難いことを指摘しておきたい。
「書きかえ」の精神
理念
1. 当用漢字の使用を円滑にするため,当用漢字表以外の漢字を含んで構成されている漢語を処理する方法の一つとして,表中同音の別の漢字に書きかえることが考えられる。
ここには,その書きかえが妥当であると認め,広く社会に用いられることを希望するものを示した。
(国語審議会・「同音の漢字による書きかえ」について)
御叮嚀にも表外字を遣はないことが「社会」で通用すれば「当用漢字の使用を円滑にする」と述べてゐる。
何が圓滑になるかと云へば、それは漢字制限と云ふ國語政策であり、詰まる所、漢字制限の先を見据ゑてゐるのである。
「書きかえ」とは、扱ふ漢字の全てを当用漢字とすることで、いづれ行ふ豫定の「当用漢字の全てを假名やローマ字に寫し表音化すること」を容易にする、さういふ趣旨なのである。
正體
以上に明らかなやうに、「書きかえ」は、当用漢字以外を封殺することが目的であつたと思はれる。所謂漢字制限の一端であるが、これが失敗してゐることは御存知の通りであらう。
成功したと云ふのであれば、何故改定の度に紛糾し、新聞社は騷ぐのか。譬へば、改定案で繞を揃へよとは噴飯物である。
「進・道」などと「邂・逅」などは、環境によるけれども、部首である繞の點が異なつて表示されてゐるはずである。
これらを揃へる必要性など常用漢字には無いではないか。揃へたいならば非合理な常用漢字を已めるのが一番である。
何故ならば常用漢字がそもそも表意的基準による銓衡ではないのだから、繞の表意性を主張するが如きは、木を見て森を見てゐない證據であらう。
そしてこの類ひ、理念無きは國語問題に全般に敷衍してをり、「書きかえ」もまた例外ではない。全ては間に合はせの產物と云ふほかあるまい。
詰まり「書きかえ」なる代案は、当用漢字や常用漢字が曖昧でいい加減であつたがゆゑの必然であつたと思はれる。
さうでなければ、なぜ下で纏めたやうな置換へ例を推奬するのか全く理解できないからである。
常用漢字論者は、本能的に、表外字を利用する事が常用漢字を形骸化させることに氣附き、さうした動きに對して使用頻度なる理念(選定基準)すら無視した現狀への危難を抱いてゐるからこそ、
「書きかえ」の撤廢に反對し、「交ぜ書き」をも薦めるのだらう。おお御前達は、表意の正則性、人の理性に負ける寸前であると云ふのに未だ諦めないのか。
ともかくもここで謂ふ常用漢字論者とは、漢字を廢止したい表音主義の連中か、多くは現狀に追隨する思考停止者である。政府が決めたと云ふ權威なぞ、表意の傳統・原理原則を前にして何ら意味を持たない。
だから、何が正しいのかと下記の法則を眺め、考へ、自分で擇んでほしい。私は諸子の良識と理性に期待したい。
「書きかえ」の法則
置換法則の系統
- 部首・音符を取る物
- 音符を俱にする物
- 部首が同じ物
- 意味、字音の類する物
- 注意を要する物
- 追加事項(學術用語など)
この法則は漢字構成に著目して決定した物であるが、より簡單な實態は以下の通りである。
- 表記例を統一した物(ex.骨骼と骨格、骼は醫學用語で用ゐられた)
- 誤用を正當化した物(ex.理窟と理屈)
- 新しく作り上げた物(ex.沈澱と沈殿など多數)
大部分は「新しく作り上げた物」であるから是正は易い。ところが誤用の場合は誤用と氣附きにくいから一般に存在したのであり、その當否を見極めねばならない。
統一された例の場合は何例か表記があつたと謂ふことで、遣ひ分けを要することもあれば、また何かしら統一できることもある。
そして何が正しいのかよくわからない表記が登場する事がある。その場合は、まさに常用漢字云々の域を脫したと判斷してよい。
漢字の本當の問題、戰前どころか數百年前から存在する「よくわからない漢字」への對應と謂ふ新たな傳統を創ることを任されてゐるのだから、心して惱めばいい。
それこそが漢字文化への貢獻である。屹度先人らも惱み、さうやつて國字や國語だけの語法が生まれたのだらう。斯く謂ふ訓讀みなるすべて宛て字の讀みもまた、斯くの如き語法の一つである。
部首・音符を取る物
音符を取る事は極端に少ない。當然ではあるが、部首と音符が同じ字音を持つとは限らないからである。
實例
- 溜を留に
- 蒸溜・乾溜・分溜;蒸留・乾留・分留
- 澱を殿に
- 沈澱;沈殿
- 醱を発に
- 醱酵;発酵
- 潑を発に
- 活潑・潑溂;活発・発溂
- 輛を両に
- 車輛;車両
- 誡を戒に
- 訓誡;訓戒
- 熄を息に
- 終熄;終息
- 悧を利に
- 悧巧;利口
- 簇を族に
- 簇生;族生
- 撈を労に
- 漁撈;漁労
- 屍を死に
- 屍體;死体
- 稀を希に
- 稀少・稀薄;希少・希薄
- 剋を克に
- 相剋・下剋上;相克・下克上
- 嚮を向に
- 意嚮;意向
- 劃を画に
- 區劃・劃然;区画・画然
- 兇を凶に
- 兇器・兇漢・兇行・兇刃・兇變・兇暴;凶器・凶漢・凶行・凶刃・凶変・凶暴
- 叛を反に
- 謀叛・叛乱;謀反・反乱
- 庖を包に
- 庖丁;包丁
- 廓を郭に
- 遊廓、外廓;遊郭、外郭
- 儼を厳に
- 儼然;厳然
- 禦を御に
- 防禦;防御
- 撒を散に
- 撒水;散水
- 讚を賛に
- 讚辭;賛辞
- 煽を扇に
- 煽情、煽動;扇情、扇動
- 叮・嚀を丁・寧に
- 叮嚀;丁寧
- 褪を退に
- 褪色;退色
- 慾を欲に
- 慾;欲
- 曠を広に
- 曠野;広野
- 廻を回に
- 廻轉;回転、他
- 歇を欠に
- 閒歇;間欠
- 倖を幸に
- 射倖心、薄倖;射幸心、薄幸
- 蛔を回に
- 蛔蟲;回虫
- 徊を回に
- 彽徊;低回
- 畸を奇に
- 畸形;奇形
- 艙を倉に
- 船艙;船倉
- 蒼・惶を倉・皇に
- 蒼惶;倉皇
- 釘を丁に
- 裝釘(裝幀);装丁
- 曝を暴に
- 曝露;暴露
- 諷を風に
- 諷刺;風刺
- 姆を母に
- 保姆;保母
- 窟を屈に
- 理窟;理屈
- 俚を里に
- 俚謠;里謡
註釋
準備中/嘗ては誤用とされたもの(理屈)、本來正しいのは實は右の表記(丁寧)、など留意すべき點も多い。
- 溜は溜(たま)る。溜は餾(じわじわと蒸す)で蒸餾とも書く。
- 分溜とは分別蒸溜のこと。
- 澱は澱(おり)、溜(よど)み。澱粉。
- 潑は潑溂(はつらつ;魚が跳ねるさま)の意。
- 醱は釀(かも)すこと。醱す。「酉」は、酒精醱酵でできる酒を表し、釀造に關する字に多い。
置換對象
溜、澱、潑、醱、熄、煽、誡、諷、讚、姆、撈、撒、俚、倖、儼、悧、惶、徊、蛔、廻、叮、嚀、曝、曠、庖、
廓、兇、劃、剋、叛、慾、歇、輛、簇、屍、稀、嚮、禦、褪、畸、艙、窟、釘
留、殿、発、発、息、扇、戒、風、賛、母、労、散、里、幸、厳、利、皇、回、回、回、丁、寧、暴、広、包、
郭、凶、画、克、反、欲、欠、両、族、死、希、向、御、退、奇、倉、屈、丁
音符を俱にする物
漢字において音は意を通ずるので極めて簡便に語彙を捏造できる。「拔萃」などは舊字の智識<粹は粋>がないとわかりづらい。
實例
- 萃を粋に
- 拔萃;抜粋
- 柢を底に
- 根柢;根底
- 訣を決に
- 訣別・祕訣;決別・秘決
- 熔を溶に
- 熔接;溶接
- 沮を阻に
- 沮喪・沮止;阻喪・阻止
- 坐を座に
- 坐禪・連坐・端坐;座禅・連座・端座
- 銷を消に
- 銷却・銷夏・銷沈;消却・消夏・消沈
- 註を注に
- 註釋・註文・註解;注釈・注文・注解
- 歎を嘆に
- 歎願;嘆願
- 燻を薫に
- 燻製;薫製
- 骼を格に
- 骨骼;骨格
- 挌を格に
- 挌鬭;格闘
- 摸を模に
- 摸索;模索
- 礦を鉱に
- 礦石・炭礦;鉱石・炭鉱
- 絃を弦に
- 絃楽;弦楽
- 煖を暖に
- 煖房・煖爐;暖房・暖炉
- 篇を編に
- 篇・短篇・長篇;編
- 沓を踏に
- 雜沓;雑踏
- 輔を補に
- 輔佐・輔導;補佐・補導
- 嶮・岨を険・阻に
- 嶮岨;険阻
- 牴・觝を抵に
- 牴触/觝触;抵触
- 煉を練に
- 試煉・煉炭・煉乳;試練・練炭・練乳
- 躁を燥に
- 焦躁;焦燥
- 媾を講に
- 媾和;講和
- 闇を暗に
- 闇黑;暗黒
- 驩を歓に
- 交驩;交歓
- 鯁を硬に
- 鯁骨;硬骨
- 歿を没に
- 死歿・病歿・戰歿;死没・病没・戦没
- 臆を憶に
- 臆說・臆測;憶説・憶測
- 濶を活に
- 快濶;快活
- 鋪を舗に
- 鋪裝;舗装
- 磨を摩に
- 磨滅;摩滅
- 棉を綿に
- 棉花;綿花
- 磐を盤に
- 落磐;落盤
- 妄を盲に
- 妄動;盲動
- 鎔を溶に
- 鎔解・鎔鑛爐;溶解・溶鉱炉
- 彎を湾に
- 彎曲・彎入;湾曲・湾入
- 駿を俊に
- 駿才;俊才
- 彽を低に
- 彽徊;低回
- 伎を技に
- 伎倆;技量
- 智を知に
- 智慧;知恵
- 癈を廃に
- 癈人;廃人
- 痲を麻に
- 痲痺;麻痺
- 撥を発に
- 反撥;反発
- 扮を粉に
- 扮飾;粉飾
- 脹を張に
- 膨脹;膨張
註釋
- 「萃」にはより拔くと謂ふ語義がある。
置換對象
萃、柢、訣、熔、沮、坐、銷、歎、燻、骼、挌、摸、礦、絃、煖、篇、沓、輔、嶮、牴、觝、煉、躁、媾、闇、
驩、鯁、歿、臆、濶、鋪、磨、棉、磐、妄、鎔、彎、駿、伎、智、彽、註
粋、底、決、溶、阻、座、消、嘆、薫、格、格、模、鉱、弦、暖、編、踏、補、険、抵、抵、練、燥、講、暗、
歓、硬、没、憶、活、舗、摩、綿、盤、盲、溶、湾、俊、技、知、低、注
部首が同じ物
部首を共通する字は比較的同じ意味の語彙となりうるが、それを表字のうちに收めるのは厄介であり、この樣な「書きかえ」はあまり多くない。
實例
- 焰を炎に
- 火焰;火炎
- 掩を援に
- 掩護・直掩;援護・直援
- 綜を総に
- 綜合;総合
- 蹈を踏に
- 蹈襲;踏襲
- 醋を酢に
- 醋酸;酢酸
- 蝕を食に
- 浸蝕・腐蝕・日蝕;浸食・腐食・日食
- 蹟を跡に
- 奇蹟・遺蹟・筆蹟・眞蹟・手蹟・舊蹟;奇跡・遺跡・筆跡・真跡・手跡・旧跡
- 糺を糾に
- 糺彈;糾弾
- 疏を疎に
- 疏通・疏水;疎通・疎水
- 饑を飢に
- 饑餓;飢餓
- 吃を喫に
- 吃水;喫水
- 鍼を針に
- 鍼術;針術
- 捐を援に
- 義捐;義援
註釋
數ある「書きかえ」のうちで「疏・疎」の如き逆の意義を見出せる物は他に例をみない。
- 焰色なども炎色と書かれる。
置換對象
焰、掩、綜、蹈、醋、蝕、蹟、糺、疏、饑、吃、鍼
炎、援、総、踏、酢、食、跡、糾、疎、飢、喫、針
意味、字音の類する物
とにかく似た物で「書きかえ」を行ふ・・・それ故に、これらの語彙が尤も多く、そして出鱈目である。
實例
- 傭を用に
- 雇傭;雇用
- 聯を連に
- 聯合・聯盟・聯邦・聯絡・聯立・聯想・聯珠;連合・連盟・連邦・連絡・連立・連想・連珠
- 蹶を決に
- 蹶起;決起
- 銓・衡を選に
- 銓衡;選考
- 穎を考に
- 穎才;英才
- 叡を英に
- 叡智;英知
- 尖を先に
- 尖銳・尖端;先鋭・先端
- 掠を略に
- 掠奪・侵掠;略奪・侵略
- 擅を専に
- 擅斷;専断
- 戟を激に
- 刺戟;刺激
- 剿を掃に
- 剿滅・剿討;掃滅・掃討
- 鄭を丁に
- 鄭重;丁重
- 耽を嘆に
- 耽美;嘆美
- 繃を包に
- 繃帶;包帯
- 誼を義に
- 恩誼・情誼;恩義・情義
- 滲を浸に
- 滲透;浸透
- 碍・礙を害に
- 阻碍/礙・妨碍・障碍;阻害・妨害・障害
- 嵌を眼に
- 象嵌;象眼
- 誦を唱に
- 暗誦(諳誦)・吟誦;暗唱・吟唱
- 腎を心に
- 肝腎;肝心
- 肝を感に
- 肝銘;感銘
- 繫を係に
- 連繫・繫船・繫爭・繫屬・繫留;連係・係船・係争・係属・係留
- 潰を壊に
- 決潰・倒潰;決壊・倒壊
- 叉を差に
- 交叉;交差
- 悖を背に
- 悖反・悖理;背反・背理
- 諒を了に
- 諒解・諒承;了解・了承
- 厖を膨に
- 厖大;膨大
- 蜚を飛に
- (流言)蜚語;飛語
- 輯を集に
- 編輯・特輯;編集・特集
- 倆を量に
- 伎倆;技量
- 鑿を削に
- 掘鑿;掘削
- 弘を広に
- 弘報;広報
- 摧を砕に
- 破摧;破砕
- 陞を昇に
- 陞敍;昇叙
- 牆を障に
- 牆壁;障壁
- 翰を簡に
- 書翰;書簡
- 涸を枯に
- 涸渴;枯渇
- 汎を範に
- 廣汎;広範
- 奠を典に
- 香奠;香典
- 頽を退に
- 衰頽・頽廢・頽勢;衰退・退廃・退勢
- 顚を転に
- 動顚・顚倒・顚覆;動転・転倒・転覆
- 暢を長に
- 伸暢;伸長
- 碇を停に
- 碇泊;停泊
- 杜を途に
- 杜絕;途絶
- 毀を棄に
- 破毀・毀損;破棄・棄損
- 慧を恵に
- 智慧・機智・智能・智謀・理智;知恵・機知・知能・知謀・理知
- 牒を丁に
- 符牒;符丁
- 鄙を卑に
- 野鄙・鄙猥;野卑・卑猥
- 抛を放に
- 抛棄・抛擲;放棄・放擲
- 抒を叙に
- 抒情;叙情
- 昂を興・高に
- 昂奮・昂騰;興奮・高騰
- 亢を興に
- 亢奮;興奮
- 翳を影に
- 陰翳;陰影
- 藉を謝に
- 慰藉;慰謝
- 扣を控に
- 扣除;控除
- 佚を逸に
- 安佚;安逸
- 按を案に
- 按分;案分
- 裳を装に
- 衣裳;衣装
- 挺を丁に
- 一挺;一丁
- 苑を園に
- 苑地;園地
- 誨を戒に
- 敎誨;教戒
- 鞏を強に
- 鞏固;強固
- 馭・禦を御に
- 馭者・制馭/制禦;御者・制御
- 淆を交に
- 混淆;混交
- 昏を混に
- 昏迷;混迷
- 饗を供に
- 饗應;供応
- 旱を干に
- 旱害・旱魃;干害
- 蒐を集・収に
- 蒐荷・蒐集;集荷・収集
- 聚を集に
- 聚落;集落
- 甚を尽に
- 蝕甚;食尽
- 訊を尋に
- 訊問;尋問
- 棲・栖を生に
- 棲息/栖息;生息
- 兢を恐に
- 戰々兢々;戦々恐々
- 帖を帳に
- 手帖;手帳
- 蕃を繁・蛮に
- 蕃殖・蕃族;繁殖・蛮族
- 爛を乱に
- 腐爛;腐乱
- 疆を境に
- 邊疆;辺境
- 巧を口に
- 悧巧;利口
- 幀を丁に
- 裝釘/裝幀;装丁
- 乎を固に
- 確乎・斷乎;確固・断固
- 醇・淳を純に
- 醇朴/淳朴;純朴
- 剛を強に
- 剛情;強情
- 譬を比に
- 譬喩;比喩
- 型を形に
- 型;形
註釋
- 「傭兵」に明らかな樣に「傭」は(賃金を拂ひ)傭ふと謂ふ意味がある。「雇」は一所に留めおく意味がある。
置換對象
傭、聯、蹶、銓、衡、穎、叡、尖、掠、擅、戟、剿、鄭、耽、繃、誼、滲、碍、礙、嵌、誦、腎、繫、潰、叉、
悖、諒、厖、蜚、輯、倆、鑿、弘、摧、陞、牆、翰、涸、汎、奠、頽、顚、暢、碇、杜、毀、慧、牒、鄙、抛、
抒、昂、昂、亢、翳、藉、扣、佚、按、裳、挺、苑、誨、鞏、馭、禦、淆、昏、饗、旱、蒐、蒐、聚、甚、訊、
棲、栖、兢、帖、蕃、蕃、爛、疆、巧、型、幀
用、連、決、選、考、英、英、先、略、専、激、掃、丁、嘆、包、義、浸、害、害、眼、唱、心、係、壊、差、
背、了、膨、飛、集、量、削、広、砕、昇、障、簡、枯、範、典、退、転、長、停、途、棄、恵、丁、卑、放、
叙、興、高、興、影、謝、控、逸、案、装、丁、園、戒、強、御、御、交、混、供、干、集、収、集、尽、尋、
生、生、恐、帳、繁、蛮、乱、境、口、形、丁
注意を要する物
固より二樣ある熟語で、意義を見極める必要がある。洗滌(センデキ)等讀みにも注意。
實例
- 哺を保に
- 哺育/保育
- 滌を淨に
- 洗滌/洗淨
- 綺を奇に
- 綺談/奇談
- 徽を記に
- 徽章/記章
- 甦を更に
- 甦生/更生
- 恢を回に
- 恢復/回復
- 蒐を収に
- 蒐集/収集
- 饑を飢に
- 饑餓/飢餓
- 糺を糾に
- 糺彈/糾彈、糺明/糾明
- 宏を広に
- 宏大/廣大
- 沮を阻に
- 沮止/阻止
- 裡を裏に
- 腦裡;脳裏
註釋
- 哺乳と保護。
置換對象
哺、滌、綺、徽、甦、恢、蒐、饑、糺、宏、沮
保、淨、奇、記、更、回、収、飢、糾、廣、阻
追加事項
實例
- 導を道に
- 導管;道管
- 篩を師に
- 篩管;師管
- 軛を役に
- 共軛;共役
- 輻を放に
- 輻射;放射
- 颱を台に
- 颱風;台風 cf.颶風
- 抛を放に
- 抛物線;放物線
- 函・凾を関に
- 函數/凾數;関数
- 堊を亜に
- 白堊(紀);白亜(紀)
n. 學術での用語でみれば、「滲透壓」「尖端」「悖理法」「線型性」「膨脹」「棲息」「譬喩」「洗滌」「蒐集」等も重要か。
註釋
- 毛管現象により水を導く管。水の道である管と謂ふ意味ではない。vessel の譯語。
- 篩板を見れば明らかなやうに、管をくぎる構造が篩狀であることから。sieve の譯語。
- 軛(くびき;行動を束縛する物、足枷)を共にすることから。conjugate の譯語。共軛複素數、共軛酸・共軛鹽基。
- 輻(や)の構造の如く、四方八方に射線が伸びるやうな現象であることから。radiation の譯語。熱輻射、黑體輻射、輻射線。
- 輻(や)とは、轂(こしき;車輪の中心)から車輪へ四方八方に伸び接合した棒。
- 颱風は岡田武松らにより定められた學術用語で typhoon の宛字。大風とも書いた。大正時代に一般化したと謂ふ。Medhurst 華英字典には颶風の用例があると謂ふ。中古文などでは野分とも謂ふ。
置換對象
導、篩、軛、輻、颱、抛、函、堊
道、師、役、放、台、放、関、亜
參考資料
・同音の漢字による書きかえ
索引
索引があると便利だらうか・・・・? 部首劃數別と字音別の二つあると面白い。部首劃數別では「潑」に「cf. 醱」と書き、字音別では「撒(サン)」に「See. 撒(サツ)」と書く。
表外から表字
表外 | 常用 | 熟語 |
表外 | 常用 | 熟語 |
表外 | 常用 | 熟語 |
表外 | 常用 | 熟語 |
表外 | 常用 | 熟語 |
輛 | 両 | 車両↑ |
潑 | 発 | 発溂↑ |
醱 | 発 | 発酵↑ |
誡 | 戒 | 訓戒↑ |
熄 | 息 | 終息↑ |
澱 | 殿 | 沈殿↑ |
悧 | 利 | 利口↑ |
簇 | 族 | 族生↑ |
撈 | 労 | 漁労↑ |
屍 | 死 | 死体↑ |
表字から表外
常用 | 表外 | 熟語 |
常用 | 表外 | 熟語 |
常用 | 表外 | 熟語 |
常用 | 表外 | 熟語 |
常用 | 表外 | 熟語 |
両 | 輛 | 車輛↑ |
発 | 潑 | 潑溂↑ |
利 | 悧 | 悧巧↑ |
戒 | 誡 | 訓誡↑ |
息 | 熄 | 終熄↑ |
殿 | 澱 | 沈澱↑ |
醱 | 醱酵↑ |
族 | 簇 | 簇生↑ |
労 | 撈 | 漁撈↑ |
死 | 屍 | 屍體↑ |
附錄
漢字の摘要 > 「同音の漢字による書きかえ」の研究
- 作成日:平成二一年九月十一日
- 變更日:平成二二年十二月三十日
- 更新日:平成二二年十二月三十日
- 公開日:
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